このページでは「腸内環境」②をお伝えしていきます!
腸内環境を整える上で重要なものとして、短鎖脂肪酸(short-chain fatty acids : SCFAs)の存在が挙げられ、その中でも特に重要とされる短鎖脂肪酸として以下の3つがあります。
・プロピオン酸(propionate)
・酢酸(acetate)
・酪酸(butyrate)
短鎖脂肪酸の腸内での働き
✅抗炎症作用
短鎖脂肪酸が免疫系へ作用することで、炎症性サイトカインの過剰な分泌を抑制します。
※炎症性サイトカインとは、炎症反応を起こす際に免疫細胞などから分泌される重要なたんぱく質のことです。
✅便通の促進
腸管の蠕動運動を促進するため、便秘のリスクを抑制します。
✅腸管壁のバリア機能の強化
短鎖脂肪酸の中でも特に酪酸は、大腸の細胞のエネルギー源になるため、腸粘膜の質の向上につながります。
✅悪性菌の増殖を抑制
腸内のpHを下げ弱酸性を保つ作用があるため、有害な菌の繁殖を抑えます。
疾患や病気に対するメリット
✅腸疾患
潰瘍性大腸炎、クローン病などに代表される炎症性腸疾患(inflammatory bowel disease : IBD)、過敏性腸症候群のリスク低下、粘膜修復。
✅代謝の向上
インスリンの感受性向上(糖尿病リスク)、体重増加抑制。
✅大腸がんリスク低下
酪酸によるアポトーシス誘導で、抑制の可能性があります。
※アポトーシスとは、細胞がターンオーバーのために死滅すること。
✅脳腸相関
気分や精神の安定、認知機能の向上。
短鎖脂肪酸を増やすためには、水溶性食物繊維レジスタントスターチ、発酵食品、海藻類が良いとされています。
その中でもレジスタントスターチは、消化されにくいでんぷん(難消化性でんぷん)と呼ばれ、小腸で消化されず大腸にまで届くことが特徴です。
ご飯やいも類などを一度加熱した食材・食品を、その後冷ますことでレジスタントスターチが増加します。
加熱の仕方も、焼くことより蒸したり茹でたりする方がその後の増加量が変わり、冷ます方法も急速より、ゆっくり冷ます方がさらに増加量は安定します。
注意点としては、過剰な食物繊維や過剰な冷やし〇〇(ご飯、いも)は控えることです。
あくまでもバランスよく摂取することで、各細胞や物質が相互扶助として働き、本来の良さを発揮します。
城谷昌彦(2019) 『「体の健康」「心の健康」の絶対条件!腸内細菌が喜ぶ生き方』 海竜社